1. HOME
  2. ブログ
  3. 「御船謡」が港町浜崎できこえました。

「御船謡」が港町浜崎できこえました。

誇りの謡が3年ぶりに復活

令和4年8月3日(水)、山口県指定無形民俗文化財『住吉神社「御船謡」』が3年ぶりに開催されました。

コロナ禍における巡行なので、地謡会員(演奏者)全員のPCR検査をして陰性を確認し、歌う時以外のマスク着用の徹底、また例年55ヶ所の個人宅や事業所、町内会などをお引受け処として奉納演奏をするところを、浜崎各町内会など10ヶ所に絞り巡行距離も短くしました。また、御船山車に18人が乗船した演奏形態も、船上に若手法螺貝2名、和太鼓1名、三味線4名の鳴り物を配し、他の演奏者は船外前方に配置した身体的距離2mを確保したものとしました。

江戸時代からご支援をいただいている国指定重要文化財「菊屋家住宅」様を復活の最初の演奏地(午後4時30分)として奉納させていただき、同じく江戸期より続くお引受け町の世界遺産萩城下町の城東中区町内会様への奉納後、浜崎に還り、国指定史跡「旧萩藩御船倉」(午後6時30分)から巡行を開始しました。浜崎9町内会への奉納や御神輿との合体、松屋家を経て午後9時30分ごろに住吉神社に還り、おあがり奉納をして3年ぶりの御船謡巡行を無事に終えることが出来ました。

規模縮小・時間短縮での開催でしたが、地域の方々をはじめ沢山のご支援を各方面からいただき次代へ繋ぐことができました。

▲ 法螺貝の一吹きから始まる演奏は3年前と変わりません。
船外の9名の演者が直立不動で謡う姿は江戸時代の御船謡が始まった頃のものを踏襲しました。

▲ 船上の伴奏者から船外の先頭の演奏者までの距離が通常の倍のため、三味線の音が届きにくいことから、私(店主)が船外で三味線を弾くこととしました。

▲ 私(店主)は演奏のため、船外の謡い手は休憩のために、神社で床几(しょうぎ)をお借りしました。

▲ 1ヶ所で1曲演奏するのに約12分かかります。例年に比べ演奏処が少ないとはいえ、3年ぶりというブランクと真夏の屋外での史上初の演奏スタイル、和楽器を持っての長距離移動等、コロナ禍での健康管理に十分に気を付け、水分補給と休憩をとりながら船を進めていきました。

▲ 船外で三味線を弾き伴奏したのは史上初です。

ダイドーグループ 日本の祭り #527 誇りの謡 ~萩 住吉祭~ 【山口】

今回の「御船謡」巡行に関わる全てをBS12トゥエルビ番組「ダイドーグループ 日本の祭り」で令和5年5月6日(土)午後6:00~6:55に「#527 誇りの謡 ~萩 住吉祭~【山口】」のタイトルで放送されました。

山口県下では全国放映に先駆けてKRY山口放送で、令和4年9月4日(日)午後15:00~15:55に「ダイドーグループ日本の祭り 誇りの謡 ~萩 住吉祭~」のタイトルでお茶の間に我々の雄姿が届けられました。また、好評につき令和4年12月30日(金)午前9:30~10:25にアンコール放送されました。

KRY山口放送のディレクターを始め多くのスタッフの皆様には大変お世話になりました。アーカイブとして後世に残すことで次代の人々に様々なことが伝承されます。心から感謝申し上げます。

▲ 今年の「御船謡」には開催可否を決める初回の会議からKRY山口放送のディレクターをはじめたくさんのスタッフの皆さんが収録に入られました。
8月3日の本番までおよそ10回ぐらい取材収録がされ、本番当日も5台のテレビカメラと多くのクルーが入られました。

お船謡がきこえる

KRY山口放送で放映された「ダイドーグループ日本の祭り 誇りの謡 ~萩 住吉祭~」が好評につき、過去の「御船謡」の映像や今回の「日本の祭り」での未使用映像をリメイクして令和5年5月14日(日)午後15:55~16:55にKRY山口放送でお船謡がきこえる」のタイトルでよたび「御船謡」が放映されました。

コロナ禍の春夏秋冬この1年を通して、住吉様(浜崎の人々は住吉神社の神様をこう呼びます)の無病息災の願いが津々浦々に響きわたるよう「御船謡」がお茶の間に流れたのは必然だったのかもしれません。

「御船謡」と「お船謡」

ところで、番組タイトルを見て「御船謡」と「お船謡」の2つの書き方に気づかれた方がいると思います。

どちらも「おふなうた」と呼びますが、「御」の漢字使用の「御船謡」は、住吉神社「御船謡」保存会のオフィシャルとして使用しています。

「お」の平仮名使用の「お船謡」は、文化財保護関連の届け出名称として山口県のオフィシャルで使用されています。

NHK総合テレビニュース番組「時論公論」

NHK総合テレビニュース番組「時論公論」も今年の巡行の舞台裏の取材をしていただきました。

NHK高橋 俊雄解説委員が東京から萩に来られ、巡行への帯同取材や私(店主)へのインタビュー取材をしていただきました。

高橋解説委員が「御船謡」を取材対象にと思われたのは、コロナ禍で3年間お祭り(巡行神事)ができず、いかに復活させるか苦しんでいた時に私が相談をさせていただいた東京文化財研究所とのやり取りを目にされ、このブログを読んだからとのことだそうです。

「コロナ禍3年目の夏祭り 伝統を絶やさないために」をタイトルとして、日本全国のお祭りの一例として取り上げていただき令和4年8月18日(木)に全国放送されました。ありがとうございました。

▲ 無事に巡行神事が終わり、謡長としてインタビューを受けました。感無量です。

家族の支えに感謝

「御船謡」は練習時の当夜当番などメンバー同士家族ぐるみのお付き合いをしています。真夏日に無病息災で無事にご奉仕をさせていただけるのも家族の支えがあってのものです。店主も38年間乗船できたのは専務のおかげだと感謝しています。

▲ 3年ぶりの巡行出発前のあわただしさの中で笑みがこぼれます。

▲ 巡行時もそばで専務が支えてくれています。

男たちの矜持

令和5年8月3日「男たちの矜持」が見れます。

令和5年度住吉祭は7月22日(土)の社務所開き(御船謡歌い初め)を皮切りに、8月1日(火)の大祭、2日(水)・3日(木)の御神幸神事、4日(金)の夏越神事として予定されています。御船謡巡行は神事の一環として伝統のとおり8月3日(木)に開催予定です。

本年もどうぞお参りください。

関連記事 / 2022.07.05
「御船謡」が3年ぶりに復活します。

関連記事