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金太郎の「紅さし南蛮漬け」

年末に長崎市の食品メーカーから「金太郎のひもの」のお問い合わせの電話をいただきました。

長崎では「長崎おせち」の一品に伝統食として「紅さし南蛮漬け」を食べる風習があり、地元で材料となる「ヒメジ(金太郎)」の水揚げがほとんど無く、質の良い「メヒジ」を探しているとのことでした。萩では「ヒメジ」のことを「金太郎」と呼んでいますが、長崎では「紅さし」と呼ぶことを初めて知りました。

「ヒメジ」はスズキ目の魚で、白身魚ですが赤く鮮やかな肌が特徴です。その見た目と縁起の良さから「紅さし」と呼んでいるのでしょうか。

幸いにも当店では高品質の「金太郎のひもの」を在庫していたことから、商談が成立し即日先様に送らせていただきました。

南蛮漬け」とは、魚をから揚げにして唐辛子といっしょに三杯酢に漬けたものです。江戸時代、長崎に渡来したスペインやポルトガルの人たちを南蛮人と呼び、その人たちとの交流の中で、日本人は油を使う調理法を学びました。南蛮諸国には「エスカベシュ」という料理があり、揚げた小魚を酢漬けにした「タパス」が南蛮貿易によって九州地方に伝わり全国に広まったものと思われます。南蛮からやってきた料理ということで「南蛮漬け」との名がつけられたそうです。

赤い肌がおめでたい魚として選ばれたその種類から調理法まで、いかにも長崎らしい「紅さしの南蛮漬け」は、最近では家庭で作る人も減っているとのことですが、魚屋の店頭などではまだまだ人気で、作る人は減っても、長崎のお正月には欠かせない一品だそうです。

萩をはじめ山口県内の割烹や居酒屋では、「ヒメジ(金太郎)」は干物をはじめお刺身や天ぷら用として流通し、「金太郎桜干し」で全国発送しても山口県出身者の方しか知らない郷土食豊かな魚だと思っていました。

しかし、ご縁をいただき、長崎の年始めの縁起の良い食材「紅さし南蛮漬け」として「長崎おせち」の一品に使っていただき嬉しいかぎりです。

アイキャッチ画像は「ヒメジ(金太郎)」の手配の御礼で「お陰でこのようになりました」と食品メーカー担当者から送っていただきました。「金太郎」がカリカリに揚げられているなと感じました。そして、これから「南蛮漬け」にしますとのことでした。

新たな日本全国の食文化を学べた実りある年末年始でした。

▲ 長崎の伝統食に彩られた「長崎おせち」です。三段重左上に「紅さし南蛮漬け」があります。
参照 / 長崎市割烹HPより

▲ 当店が市場で競り落とした「ヒメジ(金太郎)」の鮮魚です。刺身で食べられる鮮度の良さです。

▲ 当店では「金太郎のひもの」を「金太郎桜干し」と呼んでいます。
味付けは塩のみで、甘みのある素材の味と自然の色合いを生かして仕上げました。

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